今回は「兪」を取り上げます。
この漢字は、ツボの名前としてとてもたくさん出てきます。例えば、肺兪・心兪・肝兪・脾兪・腎兪など、ほんとうにたくさんあります。
漢和辞典1で調べる
兪を調べる
「兪」を漢和辞典で調べてみると、以下のような意味が出てきます(一部抜粋)。
全訳 漢辞海 第二版、三省堂、2006年、p.136。
- 【副詞】
- いっそう。さらに。(いよいよ。)<愈に通じる>
- 【動詞】
- 病気がよくなる。(い-える・イ-ユ。いや-す。)<愈に通じる>
- 【名詞】
- 人体のつぼ。とくに、背中のつぼ。
「いっそう」、「さらに」などの強調するような意味があることは、知りませんでした。
ツボの名前として使われているのは、動詞の意味「病気がよくなる」がぴったりきます。例えば、「肺兪」ならば、「肺の病気がよくなるツボ」という意味となるでしょう。
「~兪」というツボの名前なら「~」の病に効果的というように考えればよいと思います。
また、名詞の人体のツボ、特に背中のツボというのは、まさしくその通りです。兪の付くツボは、背中を通る足の太陽膀胱経に多くあります。
五臓六腑のそれぞれに対して、兪が付いたツボがあります。
五臓 | ツボ |
---|---|
肝 | 肝兪 |
心 | 心兪 |
脾 | 脾兪 |
肺 | 肺兪 |
腎 | 腎兪 |
心包 | 厥陰兪 |
六腑 | ツボ |
---|---|
胆 | 胆兪 |
小腸 | 小腸兪 |
胃 | 胃兪 |
大腸 | 大腸兪 |
膀胱 | 膀胱兪 |
三焦 | 三焦兪 |
心包が厥陰兪となっている以外は、五臓六腑の名前のあとに兪が付いて、ツボの名前になってます。
辞書には「愈」に通じるとあるので、次に「愈」を調べてみようと思いましたが、ちょっと長くなったきたので別の記事で書きます。
参考文献
- 全訳 漢辞海 第二版、三省堂、2006年 ↩︎